UX-45

(電力増幅用 直熱形3極管)    フィラメント電圧:2.5V   電流:1.5A


A1(S)動作例 

プレート電圧:275V   グリット電圧:-56V   増幅率:3.5    Rp:1.67KΩ  

Gm:2100μモー   プレート電流:36mA   負荷抵抗:4.6KΩ   出力:2W  


       UX-45

M型フィラメント・テンション部


 1928年、米国RCAが開発したナス管UX-245が1934年(昭和 9年)頃にST型の 45 と改名されて、戦前の出力管として名高いこの球は、プッシュプルでラジオ付き電蓄や高音質の音楽再生用アンプに多用された事は年輩の自作ファンならば忘れる事が出来ないでしょう。 このRCA-45を、東京電気(マツダ・・現東芝)が1935年頃(昭和10年)にUX-45と命名し国産化しています。 しかし日本では 45 が使用されて商業ベースに乗ったメーカー製品は限られたユーザー向けの電蓄に使われた以外には、そう多くの機種は生産されなかったのではないでしょうか?。 戦前、戦後を通じて一番 音の良い球は UX-45 である・・というオールド自作ファンもいるくらいです。 当時の日本でも、大手、中小企業各社が製造しておりました。 (写真は RCA 製)

米国系の純粋なオーディオ用3極パワー管(多極管の内部3結を除く)の主なものは、現在まででは 250/50 245/45 12A 2A3 300B 及び日本の 6G-A4 ぐらいで意外と少ないのです。 そうして 250/50 と 245/45/UX-45 は増幅直線性(リニアリティー)だけを論ずれば上記45のプレート特性のように今日まで生産されたオーディオ用出力管では多極管も全て含めてもトップクラスであると思います。

この良好な直線性は最初から意図されたものでしょうか?・・私はそうではないと思います。当時の真空管製造技術では細いグリッドワイヤーの強度問題やフィラメントとグリッド間の間隔を狭めて増幅率(μ)を向上させ、なお且つ一定の品質を量産においても確保するのが難しかったのではないか?・・と思っています。μやgmが小さい・・ということはグリッドバイアスが深い・・ことを意味します(能率が悪いのです)・・ですが一般に直線性は向上します。 後年、発売された 2A3 などは、能率と直線性が妥協された球とも言えます。 2A3 以後の坊熱パワー管のほとんどは高効率な反面、直線性は相当犠牲にされています。 理由として、製造メーカーの姿勢が・・後年のパワーアンプの多くは出力管をプッシュプル使用、あるいはアンプにNFBをかけて構築されるのが前提であるため・・「球自体のリニアリティーはさほど重視しなくてもよかろう?」・・であったのでしょう。

しかし、直熱3極出力管使用アンプは、現在でも国内・外メーカー市販品や巷のアマチュア製作品が数多く作られていて、現代の最新式大出力半導体アンプと競合しており、古典的とも言える小出力直熱管シングル・パワーアンプは・・清楚で、艶やかで、しなやかで、こまやかで、微妙にエコーがかかったような、その独特な音質(音味?)・・で勝負しています。 ( ん!”#・・誉めすぎだよね あはは・・)

下記にオーディオ研究家であった池田圭 氏 著 盤塵集の中の一文を紹介します

NFBをかけない3極出力管シングル・アンプには素顔の美しい女の味がある。プッシュプルともなると、A級、AB級くらいまではともかく、B級ともなるとその素顔は美人とはいえない。薄化粧くらいでは誤魔化せない。整形外科へ入院せざるを得なくなる。その病院の名をNFBという。

UX-45

       DON 製        RCA 製


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