もう一つ入手難と思われる部品に ST管のシールドケース・・があったが、これは幸運にもソケット購入時と同時に手に入れる事が出来た。・・・「今でも、こんなジャンク部品が店頭に並んでいる、買っていく人に逢ってみたいものだ」・・・と、美川は心底そう思った。
音量VR (500KΩ S付き)は VR専門店にて高価格であるが特注に応じてくれる所があり、新品を手に入れる事が出来た。他にマジックアイも付けたかったが、これは入手不可能のようで諦めるしかなかったけれど、後付けも可能であるから手に入った時に考えることにして散策を打ち切った。
これで、大方の主要部品は確保できた。 手元にある部品を元に、以前から頼んでおいたシャーシーの図面を引いて特注するだけである。 いちばん後にした理由は、どのような大きさ、形状の部品が入手できるかジャンク部品であるから不明の点を考えての事で、いたしかた無かった。 シャーシー形状はキャビネットに収めた時にスピーカーがぶつからないように斜めにカットしてあり、板厚も二ミリのアルミ製とした。 ここでも美川は キャビネットに入れるわけではないが、ベースになるシャーシーは本物の五球スーパー用で・・と、拘ったのである。
シャーシーが出来上がるまでには一ヶ月を要したので、 その間、方眼紙に配線図を丹念に書き、それによって必要な抵抗、コンデンサー、五色方配線用線材、ラグ板、などの小物部品を集めた。 少し手間取ったのは高耐圧(350V以上)のブロック型電解コンデンサーで、どうしても新品が必要なため、あちこち回らざるを得なかったが、なんとか確保した時、美川は始めて・・・「これで造れる」・・・と、実感した。
次に、シャーシーの原寸大方眼紙に実体図を何回も書き直してみて・・・「これで良い」・・・と、納得した後の仕事は、ゴミ、ホコリ、錆び、等でまみれているジャンク部品の清掃が待っている。
バリコンは、トラッキング調整用のマイカ板を損傷しないように取り外し、羽の一枚一枚を丁重に純水(市販されています)で洗い、乾いたら錆びを落とし 極細のサンドペーパーで丁寧に磨き、軸受けボールベアリング部のグリスを付け換えて全体をクリアラッカーで薄く塗った。